投資を勧めるブログやニュースには、必ず複利の効果というものが述べられています。
複利の効果とは何かというと。。。
毎月○万円ずつ積み立て○%で運用できると複利の効果で、○年後には○○万円になっているというものです。
正直こういうことを言っているブログやニュース記事というのは、そこら中にあるので引用しても良いのですが、個人攻撃みたいになっても良くないので、控えますが
これは大きな間違いなのです。
投資は複利では考えられない
投資を複利で考えてはいけないという記事を書いたことがあります。(以下参照)
趣旨を一言でまとめると。。。
投資信託ではこの複利という考え方はほぼ使えません。理由は、確実に何%の利回りを確保できるということがないからです。
そして、この記事では「100万円を10%で3年間運用する」と「100万円を年間平均10%で3年間運用する」を比較して、この状況の違いを説明しています。
(上の二つの違いが分からない人は、ぜひ「【投資初心者必見】投資信託での運用は必ずしも複利にならないところに注意」をご一読いただければと思います)
若干のネタばらしになりますが、複利とはリスクフリー(価格の変動リスクがない)状態でないと機能しない考え方なのです。
投資は上がるか下がるかわかりません。(だから投資妙味があるということも言えます)
複利が味方にならないケース(デメリット)
上に続いて価格変動リスクがあることの意味を少し深掘りしたいと思います。
ツイッター上でこのようなコメントを残させていただきました。
100円に10%のリターンで110円。これに更に10%のリターンで121円。これが複利の力。
しかし、100円に10%の利息で110円。これが10%下落すると99円になって元本割れになる。
つまり複利は良くも悪くも作用する。ポジションを持ち続けるときには気をつけたい。
— じゅんし (@junshidesuyo) October 26, 2019
この例で考えると、110円になったものをそのまま持っていたがために、元本割れしたことになります。
つまり1年経過して110円になった段階で、「結果的には」利益確定をしていた方が良かったということになります。
複利を味方にするための対応策
では複利を味方にするにはどうしたらよいでしょう。
答えは2つあります。
- 利益を確定し、現金とする
- リバランスを行う
利益を確定し、現金とする
これはシンプルで単純に利益を確定し、現金化することになります。
アメリカには「Cash is king」という言葉もあります。
儲かったと思ったら、欲張らずに現金にしておくことが一つの方法となります。
そうすることで、もし相場が反転した場合に、損失を被る心配がなくなります。
では利益確定のタイミングはどのように計ったらよいでしょうか。
私はいつもこのように考えます。
「今ここから新規で買いポジションを持てるか?」です。
答えが、Yesであれば、そのままポジションを持ちましょう。
Noであれば現金にしてください。
なぜならば、ポジションを維持するということは新規でポジションを取ることと同じことでもあるからです。
ただし、利益を確定するときは、全てのポジションを閉じる必要はありません。
一部利益確定も一つの戦略です。適度な利益確定はとても戦略的なのです。
リバランスを行う
もう一つがリバランスです。
リバランスとは、自身が決めたポートフォリオの配分比率から逸脱した場合に、元に戻すことを言います。
リバランスに関しては当ブログでも何度か紹介をしていますが、個人的にはこちらをおすすめします。
つまり値上がりした資産を売却し、値下がり(あるいはそれほど値上がりしていない)資産を購入する
あるいは、値上がりした資産を売却することなく、値下がり(あるいはそれほど値上がりしていない)資産を購入する
いずれかの方法になります。
どちらの方法であれ、行うことは、自身が当初決めたアロケーション(資産配分)に戻すことを意味しています。
これは非常に合理的であり、自身が当初決めたアロケーション(資産配分)に戻すということは、自身のリスク許容度にあった資産配分を取り直すことを意味しています。
こちらの記事の「3. トレーダーのリスク管理=我々のリバランス」以降を特にご覧いただくとリバランスの重要性がご理解いただけるかと思います。
あくまでも、淡々と愚直にポートフォリオの資産配分を守っていく、これは自分ファンドのファンドマネージャー(運用責任者)であるあなたの大事な仕事と言えます。
まとめ
2019年の10月の日米の株価水準を見ると、非常に高い水準にあります。
積み立て(あるいはバイアンドホールド)を行っていた投資家の方はある程度含み益もでてきていることでしょう。
しかし相場は一方通行と言うことはありません。
つまり、上がったら下がるものです(逆もまた然り)。
そんな相場動向に甘え、またちょっと聞いた複利の間違った考えを鵜呑みにし、何も行わないと、しっぺ返しを食らうケースもあります。
自分ファンドの運用責任者である皆様一人一人が、自身のポートフォリオがとっているリスクというものを考え、過剰なリスクを取り過ぎていないかということが常に必要となってきます。
ある程度の利益確定、またリバランスを行う、どちらを選択しても、自身が後悔しない選択を行っていってください。