なぜ、いまだに最低賃金を気にする人が多いのだろう

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今回は最低賃金に関してです。最低賃金の定義は厚生労働省のHP「最低賃金制度の概要|厚生労働省」に以下のように定義がされています。

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。 

 この最低賃金に関しては、時折ニュースでも出てきます。例えばこちらのページでは全国各地で最低賃金の引き上げが行われ、コンビニ経営を圧迫しているとあります。たしかに労働者の視点から言うと、最低賃金の引き上げは購買意欲の活性化につながり、経済を刺激すると言われています。しかし私はそれほど意味はないのではないかと考えています。

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最低賃金引き上げの現状

先ほどの「全国各地の最低賃金が引き上げ。コンビニ経営はますます窮地に」では現状をこのように説明していますので、状況理解のために要点をまとめてみたいと思います。

  • 首都圏は、1時間当たり26円のアップとなります。
  • ここ数年はアルバイトスタッフの採用・確保が難しくなっていて、最低時給以上の賃金で募集・採用している店舗も多々あります。東京23区内のコンビニですと、基本時給1000円が当たり前です。
  • コンビニ本部としても、今後は時給アップ分の対策(例えば加盟店に補償をする、本部チャージを減額する等)を行う必要性が高まってくるでしょう。

当記事での焦点はコンビニなので、コンビニの経営やそこで働くアルバイトの方の現状をメインで書いていますが、最低賃金の引き上げは経営を圧迫します。実際、人件費というのは、時給で多少の変化はするとは言え、払わないといけないある種の固定費のような側面もあります。

 

最低賃金の上昇はこの固定費の上昇につながるため、経営を圧迫するということは想像に難しくないでしょう。逆にアルバイト(労働者)の方から見ると、手取り金額が増えるということは働くモチベーションにもつながりますし、良いことのようにも見えます。しかし最低賃金の上昇というのは、あまり意味のあるものではないのです。

 

最低賃金ではなく購買力で考えよう

最低賃金が上昇しても、実際そこまで消費につながらないケースというのは往々にしてあります。その理由の一つに購買力への影響はどうかという考え方があります。以下の例で考えてみましょう。

時給が1000円から1010円に上がった

物価が2%上昇した

いかがでしょう。賃金の上昇は1%に留まっているにも関わらず物価は2%上がっています。例えば今まで1000円で100円のガムが10個買えていたとします。賃金は1%上がりましたが、物価は2%上がりました。つまりガムの値段が102円になりました。そうすると1010円では102円のガムを10個買うことができなくなってしまいます。つまり購買力の減退を意味しています。

 

日銀の定める物価目標は2%

ここまでの話をまとめると、我々はあくまでも金額自身の上昇ではなく、物価を加味したうえでの購買力という観点で考えないといけないということである。日本の金融政策を管理している日本銀行は金融政策の目標をこのように定めている。(詳しくは「2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和を参照ください)

2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

 

現在の消費者物価指数は前年比(前の年と比べるという意味)で2%まで行っていないですが、国としての目標は2%です。ということは、賃金も2%以上で上昇をしないと本当の意味での購買力の拡大(多くの人が願っているシナリオ)にはつながらないということです。

 

まとめ

今回は賃金というところに焦点をあててみました。政策や経済学の先生がまれに最低賃金について言及することがありますが、あまり意味がないということをご理解いただけたでしょうか。つまり賃金は単独で考えても意味がなく、物価を同時に考えないと購買力の議論にはつながらないということです。

 

逆に言えば、デフレ(物価が下落)している状況であっても、賃金が変わらなければ、購買力は上がっていることを意味します。結局のところ物価ありきで考えないといけないのです。最低賃金だけでなくても、昇給の時など、実際にこれで購買力は上がったのかどうかということを考えてみると面白いかもしれません。