LCH / CME / JSCC 金利スワップ市場に出てきたクリアリングハウス間のスプレッド

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今となっては業界の常識だが、金利スワップはCCPと呼ばれるクリアリングハウス間でスプレッドが発生している。例えば、JSCCでは0.1%のものが、LCHでは0.12%といった具合です。以下のページにとても分かりやすく出ていたので紹介をさせていただきたいと思います。
www.clarusft.com

今回はそもそもクリアリングハウスとはどういったものなのか、このベーシスがどのようにトレーダーのポートフォリオに影響を与えるのかご紹介をしたいと思います。

1. クリアーするとはどういうことか

簡単に言うと、株で言う取引所のようなものに間に入ってもらい、カウンターパーティーリスクを減らそうという試みであります。

 

金利スワップOTC取引(店頭取引)となるため、金融機関Aと金融機関Bが取引をするとお互いが直接取引を行っていました(こういった取引をバイラテラル取引と言います)。しかしリーマンショックの破綻に見られるように、過去のようにここの金融機関は潰れないだろうという考え方はもうできなくなってきました。

 

実際、マーケットではCVAといった相手のカウンターパーティリスクをpriceに反映させようという動きも出てきました。そこでそれぞれの金融機関でお金を出し合って運営しているクリアリングハウスに間に入ってもらえば、このカウンターパーティリスクというものを最小限にすることができるのではという考え方になりました。

 

2. 実際どういったクリアリングハウスがあるか

主なクリアリングハウスは主に3つです。1つ目が日本のJSCC、2つ目がロンドンのLCH、3つ目がアメリカのCMEです。この主要3大CCPで金利スワップのクリアリングというものが行われております。

 

3. CCP間のスプレッドがポートフォリオに与える影響

もし日本にメインの拠点がある円のトレーダーのポートフォリオが全てJSCCのカーブで時価評価を行っていた場合、スプレッドを加味することで、思わぬ損失が発生することがあります。

 

以下は先ほどのウェブサイトに掲載がされておりましたブルームバーグの画面サンプルになります。

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このように各テナー毎にスプレッドが表示されています。これの調整ですが、過去記事の「金利スワップのデルタはリスク指標であり、PnLに直結するもの! - 金融で働きながら思ったことを書いていくブログ」でもご紹介させていただいた通り、スワップトレーダーは各テナーごとのカーブに対する感応度で管理を行っています。

 

したがいまして、例えば10Yの所のリスク(カーブが1bp動いた時のインパクト)が+10万円だった場合、もしCCP間のスプレッドが2bp(0.02%)だとすると、その時点で評価額は+20万円になります。

 

これはうまく行った例ですが、トレーダーは金利が下がると思っていれば、マイナス方向へのポジション(例えば-10万円 = 金利が1bp下がると10万円儲かる)といったポジションを持っているケースもあり、そうなるとこのスプレッドはネガティブに働きます。

 

各テナーごとにスプレッドが異なっておりますので、自分の持っているポートフォリオのデルタリスクにそれぞれを掛け合わせ、インパクトを考えます。

 

4. まとめ

以前からCCP間のスプレッドというのは、考えられてはいましたが、これが顕著になったのはここ数年の話です。そこにうまく対応ができたか否かでそのトレーダー並びに金融機関の損益に大きなインパクトが出てきたことでしょう。